◆マドンナ/新珠三千代(お志津役) ◆主要ロケ地/三重県湯の山温泉
オ-プニング
信州は木曽路・奈良井宿の旅館にて、風邪をこじらせ寝込む寅次郎。中央西線を走るSLが印象的です。
「あんた、身寄りはいるのかい?」・・・・寅を気遣うのは、仲居を演ずる悠木千帆(のちの樹木希林)です。
とらやの面々の写真を仲居に見せ、満男を抱くさくらを妻だと説明する寅次郎でした。
オ-ケストラチックな前奏で始まる主題歌は、今作では2コ-ラス目が流れます。
爆笑シ-ン
故郷柴又に帰ってきた寅次郎に縁談が持ち上がり、川千家にておいちゃん・タコ社長を交えてお見合いをします。
そこに現れた相手は、夫婦仲がうまくいかず、腹いせに見合い話を引き受けた女中・駒子(春川ますみ)でした。
実は、駒子は寅の昔の知り合いで、早速 夫(晴乃ピ-チク)を呼び寄せ、とらやで復縁祝いを盛大に行います。
支払いは全てとらやにさせる寅次郎に、おいちゃんは大爆発。さらに、寅と博は殴り合いの大喧嘩となります。
心に残る名場面
お志津の弟・信夫(河原崎建三)は、同級生で今は芸者をしている染奴(香山美子)と恋仲になっています。
彼女が心変わりしたのではと心配になって帰郷した信夫は、その原因がテキヤの父親(花沢徳衛)だと知ります。
父親が作った借金返済のために、妾になることを決意した染奴を諭し、二人は駆け落ちして出ていきます。
同業者として、孤独の身になった病弱の父親を放っておけない寅次郎は、浅草にいる世話人を紹介します。
エンディング
大晦日、よりを戻した駒子夫婦がとらやを訪れ、寅次郎の噂をしながら団らんの一時を過ごします。
ふとテレビを見ると、鹿児島・霧島神宮より中継の画面に寅の姿が・・・・とらやの面々を唖然とさせます。
いっぽう、寅次郎は新年を迎え、鹿児島から種子島へ向かう船上、乗り合わせた客と啖呵売の練習をします。
「四ツ谷・赤坂・麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水」・・・・やがて、雄大な種子島が現れ、幕を閉じます。
総 括
前作からわずか2ヶ月で公開された今作は、山田作品の脚本を手掛ける森崎東監督により製作されました。
全編に渡り喜劇仕立となっており、寅次郎の頭に障子が落ちてきたり、つまずいて転ぶシ-ンなどが満載です。
おいちゃん夫婦が泊まる宿に、番頭の寅次郎がいる・・・・そんな非現実的な設定も「男はつらいよ」ならではです。
もみじ荘で働く番頭 徳爺役・左卜全の独特の風貌や、仲居役・野村昭子の軽妙な語り口も見逃せません。