◆マドンナ/長山藍子(三浦節子役) ◆主要ロケ地/千葉県浦安・北海道札幌
オ-プニング
冒頭は寅次郎が見る夢の設定です。幾重にも重なる襖の奥で、おいちゃんが息を引き取ろうとしています。
「おいちゃんよ・・・・みんな俺が悪いんだよ」 泣き崩れる寅に、さくらが「おにいちゃん」と連呼します。
最後にさくらが「お客さん・・・・」と呼び、旅館の女中(谷よしの)の声に変わったところで目が覚めます。
障子にもたれ掛かり、ステンと庭へ転げ落ちるのはお約束です。その後、主題歌(1コ-ラス目)が流れます。
爆笑シ-ン
東京に戻った寅次郎は、とらやへ電話をかけます。「おいちゃんは元気かい?」と問いかける寅に、おばちゃんは
おいちゃんと結託して「生きてるのは生きてるんだけどさ~もう長いことなさそうだよ」と嘘をつきます。
正夢だと思い込む寅は、御前様や近所の人に声をかけ、葬儀屋まで手配をとり、慌ててとらやに帰ってきます。
やがてそれが冗談だと分かり、おいちゃんと寅は大喧嘩。出て行こうとする寅を、さくらは何とか引き止めます。
心に残る名場面
昔世話になったテキヤの政吉親分(木田三千雄)が危篤と知らされ、登とともに札幌の病院へ向かいます。
息子に会いたいと親分に懇願され、国鉄機関士の澄雄(松山省三)のもとを訪ね、父に会うよう説得します。
母子を捨てたヤクザな父には会いたくないと冷たく拒絶され、二人は仕方なく澄雄と別れます。
息を引き取った親分の姿に、テキヤ渡世の哀れな末路を痛感し、堅気になって真面目に働くことを決意します。
エンディング
節子(長山藍子)がさくらのアパ-トを訪ね、寅が旅先から節子に宛てた便りを受けとり、目を通します。
「浦安にておかけしたご迷惑の数々、お許しください・・・・」 江戸川の土手に佇む さくらのシ-ンが印象的です。
ラストは、旅先の海岸で再会する寅と登。「兄貴~堅気になったんじゃねえのかよ?」「てめえだって、何ウロウロ
してやがんだい!バカヤロ~」 その脇を、モクモクと煙を吐きながら蒸気機関車が通り過ぎていきます。
総 括
第2作以来となる、山田洋次監督の今作は、映画版「男はつらいよ」の完結篇にするべく製作されました。
テレビ版ではさくらを演じた長山藍子をはじめ、井川比佐志・杉山とく子などレギュラ-陣が出演しています。
浦安の豆腐屋からさくらのアパ-トへ油揚げを郵送する(実際に腐っていた)あたり、いかにも寅さんらしいです。
今作の成功により、松竹はシリ-ズ化を決め、第6作「純情篇」の製作に入っていきます。
PLAYBACK 1970
■1970年(昭和45年)のできごと・・・・日本万国博覧会開幕(3月14日)/赤軍派 よど号乗っ取り(3月31日)
ぷりんす号シ-ジャック事件(5月12日)/国勢調査で日本の人口1億人突破(10月1日)
■1970年(昭和45年)のヒット曲・・・・知床旅情(加藤登紀子)/白い蝶のサンバ(森山加代子)
あなたならどうする(いしだあゆみ)/戦争を知らない子供たち(ジロ-ズ)/誰もいない海(トワ・エ・モア)