とらやに御前さまの姪にあたる礼子が下宿することになった。この女性、大学で考古学の助手をしているインテリで、旅から帰った寅次郎の目には、
この女性ほど高貴に見えた人はなかったであろう。我が身を反省し、寅次郎も学問を始めたのである。桜田淳子もゲスト出演するシリ-ズ第16作。
◆マドンナ/樫山文枝(筧礼子役) ◆主要ロケ地/山形県寒河江
オ-プニング
アメリカはテキサス。西部の酒場で歌姫・チェリ-(倍賞千恵子)が、行方知れずの兄を想い歌っています。
悪党たち(吉田義夫ら)に絡まれるチェリ-。そこに現れた「タイガ-・キッド」(渥美清)こそ彼女の兄でした。
「バ-ジニアへ帰りましょう」という妹に、「親もねえ、兄妹もねえお尋ね者よ!」と言い残し去っていきました。
荷馬車に揺られながら夢見心地の寅次郎。ふと目覚めて大あくびをすると、カバンが転げ落ちてしまいます。
爆笑シ-ン
礼子がとらやに下宿して間もなく、寅次郎が帰ってきました。礼子に恋心を抱く寅は学問に目覚めます。
ある日、さくらのアパ-トにおばちゃんから電話が入ります。「学問をする人は、みんなメガネかけてるかい?」
柴又商店街でメガネを買った寅次郎。轟巡査(米倉斉加年)とすれ違い、「考え事をしていたもんですから・・・・」
源ちゃんも大笑い。メガネ姿の寅がこっけいでたまりません。たちまち、柴又中の噂になる寅次郎でした。
心に残る名場面
恩師の田所教授(小林桂樹)から結婚を申込まれた礼子。見舞いを持ってきた寅次郎に、胸の内を明かします。
相手が誰だか知らないまま、旅の準備を始る寅。「学問がないってことは悔しいよ!」とさくらに言いながら・・・・
田所教授から電話が入り、求婚を断る礼子。寅次郎が下りてきて、礼子に別れを告げとらやを後にします。
「あたし、結婚しないの」礼子の言葉に慌てふためき、兄を追いかけるさくら。すでに電車は出発した後でした。
エンディング
とらやを訪れた礼子。「礼子先生にはその後お変わりなくお過ごしでしょうか」 寅からの年賀状を読んでいます。
いっぽう、西伊豆を旅する寅次郎と田所教授。「年寄りは年寄りらしくのんびり歩いたらどうなんだい」と寅。
「船が出ますよ~」 案内嬢(岡本茉莉)の声に、「お~い、乗るぞ~!」 田所教授が叫び、二人は乗り込みます。
「初荷」が誇らしげなポンポン船が、快晴の富士山に向かって出港したところで、エンディングを迎えます。
総 括
冒頭に登場するのは、「花の中3トリオ」の桜田淳子です。まだ、あどけなさが残っていて実に可愛いです。
寅次郎に17歳になる娘が!・・・・色々想像を膨らませるおいちゃん・おばちゃんのやりとりには爆笑です。
寒河江・慈恩寺の住職役で登場する大滝秀治は、今作で初登場となり、独特の存在感を醸し出しています。
当時大ブ-ムとなった映画「日本沈没」では、田所博士を演じた小林桂樹。今作でも同役名で登場しました。
PLAYBACK 1975
■1975年(昭和50年)のできごと・・・・沖縄海洋博開幕(7月19日)/日本赤軍 クアラルンプ-ル事件(8月5日)
天皇・皇后 初の訪米に出発(9月30日)/室蘭本線で国鉄最後のSL旅客列車が走る(12月14日)
■1975年(昭和50年)のヒット曲・・・・シクラメンのかほり(布施明)/時の過ぎゆくままに(沢田研二)
私鉄沿線(野口五郎)/ル-ジュの伝言(荒井由実)/時代(中島みゆき)/ロマンス(岩崎宏美)