寅次郎は変な老人と知り合うが、この老人、なんと画壇の大御所・池ノ内青観先生。相変わらず、とらやの連中と大喧嘩した寅次郎は、播州龍野で
画伯と再会する。そして、先生のお供をして宴席で会ったのが、芸者「ぼたん」であった。宇野重吉・寺尾聡の親子共演も楽しめるシリ-ズ第17作。
◆マドンナ/太地喜和子(ぼたん役) ◆主要ロケ地/兵庫県龍野
オ-プニング
大海原。とらや一家を飲み込んだ人喰いザメを、血眼になって探す車船長(渥美清)とさくら(倍賞千恵子)。
執念で釣竿を握る船長。放心状態のさくらは、おいちゃんの幻の声を聞き、身を乗り出してサメの餌食に・・・・
夢から覚めたのは、とある田舎の漁港。寅の釣竿が引き始め、釣り上げた小さな魚に手を噛みつかれます。
主題歌は、1コ-ラス目のあと3コ-ラス目が唄われ、寅次郎は子供たちのチャンバラに入り込みます。
爆笑シ-ン
上野の飲み屋で、寅次郎は支払いのできない老人(宇野重吉)を助け、深夜 とらやに連れて帰ります。
宿屋にいると勘違いした老人は、好き勝手し放題。ようやく気付いた老人は、寅に絵を描いて渡します。
老人に言われるがまま、絵を神田の古本屋「大雅堂」に持ち込み、店主(大滝秀治)に鑑定してもらいます。
付いた値がなんと7万円! 老人は画壇の最高峰・池ノ内青観であることが分かり、驚いて帰ってくる寅でした。
心に残る名場面
龍野で会った芸者・ぼたん(太地喜和子)がとらやを訪ねてきました。喜ぶ寅次郎でしたが、彼女には事情が・・・・
苦労して貯めた200万円を騙し取った男・鬼頭(佐野浅夫)に会いに行くも、法律を盾に金を返そうとしません。
帰ってきた社長に掴みかかる寅。「ぼたん、きっと仇はとってやるからな」と言い残し、とらやを出ていきます。
「私、幸せや・・・・もう200万円なんかいらん!」 寅次郎の気持ちに打たれ、泣きじゃくるぼたんでした。
エンディング
青観宅を訪ねた寅次郎は、ぼたんのために絵を描いてやってほしいと頼み込むも、断られてしまいます。
夏のある日、寅次郎は播州龍野のぼたんを訪ねます。「おまえさんと所帯を持とうと思って」と笑いながら・・・・
ぼたんに家の中へ連れて行かれ、目にした物は・・・・ 青観から送られてきたという「ぼたんの花」の絵画でした。
ぼたんを外へ連れ出し、「おい!東京はどっちだ?」。 醤油の樽に上がり、青観に両手を合わせる寅次郎でした。
総 括
とらやのご近所さん役で度々登場する桜井センリ。今作では、龍野市役所のさえない観光課長役を演じました。
龍野にて、青観と初恋の人・志乃(岡田嘉子)が過ごす静かな時間。今作に深い印象を与えています。
水戸の黄門様も演じた佐野浅夫ですが、今作では、風貌・セリフともに悪人ぶりが際立っていました。
男はつらいよ全48作の中で、最も気に入っている「夕焼け小焼け」。何度観ても、飽きない一作です。