旅先からふらり戻ってきた寅次郎は、さくらの一人息子・満男の担任である美しい雅子先生に想いを寄せると思いきや、実は先生の母親である
未亡人の綾にポ-ッとなってしまう。綾は寅次郎のかつての幼馴染みだったのだ。別所温泉にて「坂東鶴八郎一座」と再会するシリ-ズ第18作。
◆マドンナ/京マチ子(柳生綾役) ◆主要ロケ地/長野県別所温泉
オ-プニング
北アフリカの港町。アラビアのトランス(渥美清)のもとに、兄の行方を訪ねはるばる日本からやってきたさくら。
トランスが言います。「娘さん、寅次郎はこの世の人ではないんだよ」 しかし、このトランスこそが寅次郎でした。
上田交通別所線沿線の床屋で夢見心地の寅次郎。アツアツのタオルを顔にかけられ「アチッ!」 目が覚めます。
主題歌のミニコントは、江戸川土手で行われる映画撮影のロケ隊に寅が紛れ込み、あれやこれやと妨害します。
爆笑シ-ン
別所温泉を訪れた寅次郎は、「坂東鶴八郎一座」と再会し観劇します。その晩、自分の宿部屋に一座を招く寅。
盛大に酒や肴を振る舞い、翌朝一座を見送るも、支払いが足りない寅次郎。無銭飲食で警察に連行されます。
呼び出され、別所温泉の交番へ向かうさくら。警官(梅津栄)に宿の請求書を見せられ、その金額にびっくり!
さらに警察の弁当は口に合わないと、寿司・うなぎ・そば・署員らのコ-ヒ-まで注文していた寅次郎でした。
心に残る名場面
雅子先生(檀ふみ)の母・綾に何かと世話を焼く寅次郎。いっぽう、母の命はもう永くないと聞かされるさくら。
ある日、綾の体調が芳しくないことを知った寅は、胸騒ぎを覚え、八百屋で大量にイモを買いとらやへ帰ります。
綾にイモの煮っころがしを食べさせるために・・・・ さくらに準備をさせ、せっつく寅。「おい、もうできたか~?」
源公に柳生家が慌しくなっていると聞かされ、急いで向かう二人。綾は、先ほど天国に旅立ったのでした。
エンディング
新年を迎え、初詣客で賑わう参道。柳生家のお手伝いさん(浦辺粂子)とその孫(赤塚真人)がとらやを訪れます。
「拝啓、よい年をお迎えのことと思います・・・・」 雅子からの葉書が読まれ、場面は新潟県六日町に変わります。
小さな分校で、生徒らとスキ-板を付けて歩く雅子先生。「寅さん!!」 寅次郎を見つけ大声を張り上げます。
「夢じゃないかしら!」と雅子。「すごい所にいるねぇ!」と寅。生徒らと校舎へ向かい、エンディングとなります。
総 括
「男はつらいよ」全48作中で唯一、マドンナが亡くなってしまう展開は、「人間の死」について考えさせられます。
「NHK連想ゲ-ム」の名解答者として知られる檀ふみは、ベテラン女優・京マチ子と共に今作に華を添えました。
別所温泉では、上田交通の旧型電車(丸窓電車)が走る姿が映し出され、山田監督らしいアングルで楽しめます。
また、「スバルの富士重工」が特別協賛し、帝釈天参道では「サンバ-」、別所温泉では「レックス」が登場します。
PLAYBACK 1976
■1976年(昭和51年)のできごと・・・・日本初の五つ子誕生(1月31日)/南北ベトナムが統一(7月2日)
ロッキ-ド事件 田中角栄逮捕(7月27日)/酒田市大火(10月29日)/天皇在位50年式典(11月10日)
■1976年(昭和51年)のヒット曲・・・・およげ!たいやきくん(子門正人)/木綿のハンカチ-フ(太田裕美)
わかって下さい(因幡晃)/北の宿から(都はるみ)/俺たちの旅(中村雅俊)/春一番(キャンディ-ズ)