四国の古い城下町・大洲で寅次郎が出会ったのは、世が世であればお殿様。息子と嫁さんの涙の物語を聞かされた寅次郎は、殿様と連れだって柴又へ。
そこへ何の巡り合わせか、捜し求めた姫が来訪。殿様の養子になり、姫と暮らす夢をみる寅次郎だった。名優・嵐寛寿郎が登場するシリ-ズ第19作。
◆マドンナ/真野響子(堤鞠子役) ◆主要ロケ地/愛媛県松山・大洲
オ-プニング
幕末期は京洛の地。鞍馬天狗(渥美清)は杉作を助けてくれた女性(倍賞千恵子)に礼を言い、立ち去ります。
「もしや、あなたは兄上?」「さくら!」。感動の再開も束の間、敵に囲まれた鞍馬天狗は、次々とぶった切ります。
夢から覚めたのは、国鉄予讃線・下灘駅。ベンチで寝ていた寅次郎は、駅員に起こされ大きなあくびをします。
主題歌のミニコントは、モデル撮影の脇を通りがかった寅が、フィルムのネガを全部出して大騒動となります。
爆笑シ-ン
久しぶりに帰ってきた寅次郎。土産に買ってきた小さな鯉のぼりを見て、慌てて裏庭の鯉のぼりを片付ける博。
「お前たちは俺を哀れんでるのか?」 一同に説教しているところに社長が登場し、寅の怒りもピ-クに達します。
その晩の食卓。「トラ!なんだ、こんな所にクソして~!!」と博の声がします。すかさず、自分の股を確認する寅。
源公が連れてきた犬に「トラ」と名前が付いていることに激高する寅次郎。一家と大喧嘩し、とらやを出ていきます。
心に残る名場面
伊予大洲(おおず)で知り合った殿様(嵐寛寿郎)と、亡き末息子の嫁(鞠子)を捜すことを約束する寅次郎。
数日後、殿様はとらやを訪れます。「鞠子は見つかりましたか?」と詰め寄られ、鞠子捜しが始まります。
源公と二人で近所から探し回るも、見つかるはずがありません。殿様に会わず、旅に出ようとする寅次郎。
とその時、大洲で会った女性(真野響子)と再会します。何とこの女性こそが、捜し求めた鞠子だったのです。
エンディング
鞠子に熱を上げる寅次郎でしたが、会社の同僚と結婚を考えていることを聞かされ、柴又を後にします。
場面は変わり、夏真っ盛りの伊予大洲。殿様が心配で訪ねたものの、いつまでも引き止められ困る寅次郎。
執事(三木のり平)に見つかり、「お屋敷にお帰り下さい。お殿様がお呼びです」・・・・ またも、連れ戻されます。
大洲城址横のグランドでサッカ-をする高校生たちが映し出され、エンディングを迎えます。
総 括
時代劇の大スタ-・アラカンこと嵐寛寿郎が演ずるのは、大洲藩十八代目当主・藤堂久宗(大洲の殿様)です。
寅次郎にラムネをご馳走になるシ-ン、柴又でリヤカ-に乗せられるシ-ンなど、どれをとっても絵になります。
女優・真野(まの)あずさの姉として知られる真野(まや)響子は、自立を決意し懸命に働く女性を演じました。
また、短いシ-ンながら、大洲の町を自転車で巡回する警官役として、寺尾聡が2回登場しています。