とらやを訪ねたさくらの学友・奈々子に寅次郎は一目惚れ。彼女はSKDの花形スタ-で、大きな瞳が物を言う。しかし、恋人と幸福になるか舞台
に生きるかで悩む奈々子は、所詮ひたむきな愛を寄せる寅次郎にとって高嶺の花であった。九州弁全開・武田鉄矢の演技が光るシリ-ズ第21作。
◆マドンナ/木の実ナナ(紅奈々子役) ◆主要ロケ地/熊本県田の原温泉
オ-プニング
「不可思議な飛行物体が柴又に接近!」のニュ-スにとらやは大騒ぎ。2階から銀色づくめの寅が降りてきます。
「みなさん。実は私は寅次郎さんではありません・・・・」 寅は帽子型円盤に乗り込み、宇宙へ帰っていきました。
夢から覚めたのは、大分県あそづる駅。寅がベンチから立ち上がると、反動で男子高校生がひっくり返ります。
主題歌のミニコントは、カップルに撮影を頼まれ、後退していくうちに別のカップルにつまづき騒動に発展します。
爆笑シ-ン
熊本の田の原温泉で知り合った青年・留吉(武田鉄矢)が、寅次郎に会いにはるばる東京へやって来ました。
いっぽう、奈々子(木の実ナナ)を目当てに、前日に続き浅草国際劇場へレビュ-を観に行こうとする寅次郎。
とらやの店先で会うも、上演時間を気にして素っ気ない様子の寅。「国際劇場のレビュ-ば見たか-!」と留吉。
自分はレビュ-に全く関心がないのを装いながら、留吉を引き連れて猛ダッシュで浅草へ向かう寅次郎でした。
心に残る名場面
とらやを訪ねてきた奈々子は、仕事(ダンサ-)の道を選び、10年近く付き合った彼と別れたことを告白します。
土砂降りの中、奈々子を家まで送る寅次郎。帰ろうとする寅に、奈々子は「今夜は私に付き合って」とせがみます。
ふと窓の外に目をやると、劇場・照明係の彼(竜雷太)がポツンと立っていました。一目散に彼の元へ走る奈々子。
激しい雷鳴の中、二人は強く抱き合いキスをします。そっと加奈子の部屋を後にし、とらやへ帰る寅次郎でした。
エンディング
国際劇場・紅奈々子 最後の舞台。さくらは、楽屋を訪ね奈々子を激励します。そして、客席には寅次郎の姿が。
場面は変わり、盛夏のとらや。SKDの若い団員が かき氷を食べています。留吉からの暑中見舞いを読むさくら。
いっぽう、田の原温泉では またもや彼女に振られる留吉の姿が。一部始終を見ていた寅次郎は声をかけます。
「お前は結婚には向かないから諦めろって言ったろ」 「俺、真面目な男ですよ~」 留吉は寅次郎を追いかけます。
総 括
冒頭の夢シ-ンは、当時のUFOブ-ムを反映し、アメリカ映画「未知との遭遇」ばりのSF仕立てとなっています。
前年公開「幸福の黄色いハンカチ」で山田監督に見出された武田鉄矢。今作では、もてない青年を好演しました。
これまで、ショ-ビジネスの世界で活躍してきた木の実ナナは、自身のキャラクタ-に近い役どころを演じました。
全編にわたりSKD(松竹歌劇団)が登場し、テ-マソング「桜咲く国」をバックに、華麗なレビュ-が楽しめます。