とらやにおかしな外人が下宿することになった。旅から帰った寅次郎とは犬猿の仲になるが、通訳をかって出た英語塾のめぐみ先生の母・圭子が
出現し事態は一変。美人で、しかも未亡人とくれば、寅次郎の例の病気が始まらない訳がない。人気アイドル・林寛子も出演するシリ-ズ第24作。
◆マドンナ/香川京子(高井圭子役) ◆主要ロケ地/和歌山県粉河寺・アメリカ アリゾナ州
オ-プニング
1930年代のサンフランシスコ・チャイナタウン。銃声とともに現れたのは、瀕死のマドロス・車寅次郎。
「日本にいる妹へ形見と言って渡してほしい」とお守りを差し出す寅。その酒場女こそが、妹・さくらでした。
夢から覚めたのは、和歌山の小さな連絡船。「着いたか日本へ?」 寝ぼける寅次郎に、周囲は大爆笑します。
主題歌のミニコントは、男子学生が短パンを履き忘れてパンツ姿になってしまい、女子学生たちに笑われます。
爆笑シ-ン
2階の寅の部屋では、おばちゃんが もらった大量の「ぶどう」を床一面に広げ選り分けています。
そこへ、いつものように運悪く帰ってきた寅次郎。2~3房の「ぶどう」を、さくらに土産と言って渡します。
ぶどうでいっぱいの部屋を見て不機嫌になる寅。さらに、博がぶどうがびっしり入った箱を抱え入って来ます。
寅の土産を見るなり、「なんだこれ、すっぱくてまずいやつだ!」と博。寅次郎の不機嫌は、ピ-クに達します。
心に残る名場面
とらやの一員となった米国人セ-ルスマン・マイケル(ハ-ブ エデルマン)は、さくらに恋心を抱いています。
ある日、関西のセ-ルスから戻ったマイケルは、母から届いた手紙を読み、さくらに「I love you」と告げます。
マイケルの気持ちを知りつつも、「Impossible」(ダメ)と答えるさくら。マイケルは、奈落の底に突き落とされます。
その晩、好意を持っていた圭子(香川京子)から身を引いた寅次郎とともに、とらやを出て行きました。
エンディング
正月を迎えたとらや。めぐみ(林寛子)が、印刷工場の工員たちとスキ-へ出掛けようとしています。
マイケルが送ってきたエアメ-ルを読むさくら。「・・・・アリゾナより愛をこめて。マイケル・ジョ-ダン」
いっぽう、西伊豆の港町で啖呵売をする寅次郎。売仲間のポンシュウ(小島三児)は、新しい妻と一緒です。
「焼けのやんぱち日焼けのなすび色が黒くて食いつきたいが・・・・」 軽妙な寅の口上でエンディングとなります。
総 括
今作では、米国人俳優が登場し、寅次郎と同じセ-ルスマン、さながら「アメリカ版寅さん」を熱演しました。
とらやの人々は、「マイケル」の発音が聞き取れず、「マイコ」や「マイコさん」と呼んでいるのには笑えました。
圭子の家の増築工事をする棟梁役に犬塚弘、圭子が再婚を考えている船長役に梅野泰靖が出演しています。
また、マイケルの訪問先・京都西陣では、お馴染みの「坂東鶴八郎一座」が登場し、「蝶々夫人」を上演しました。
PLAYBACK 1979
■1979年(昭和54年)のできごと・・・・梅川事件発生(1月26日)/東京サミット(6月28日)
東名 日本坂トンネル事故(7月11日)/マザ-・テレサにノ-ベル平和賞(12月10日)
■1979年(昭和54年)のヒット曲・・・・魅せられて(ジュディ・オング)/贈る言葉(海援隊)/異邦人(久保田早紀)
YOUNG MAN(西城秀樹)/おもいで酒(小林幸子)/SACHIKO(ばんばひろふみ)/愛の水中花(松坂慶子)