男はつらいよ 寅次郎物語 (1987年12月公開)
ある日、急死したテキ屋仲間の遺児がとらやを訪れ、寅次郎は一緒に母親を探しに旅に出ることに。旅先の宿で、病気にかかった子供の看病をして
くれた美しい女性と、そのことが縁でまるで夫婦のようなひとときを過ごし有頂天になる寅だったが・・・・ 五月みどりも出演するシリ-ズ第39作。
◆マドンナ/秋吉久美子(高井隆子役) ◆主要ロケ地/奈良県吉野・伊勢志摩
オ-プニング
雪の夜、父親にせっかんされる寅次郎。「他人様の物に手をつけるとは息子じゃねぇ」。庭木に縛り付けられる寅。
父親との関係が悪化し、家出を決意する寅次郎。さくらが寅を追います。「考えてみりゃ、あれが最初の家出さ」
夢から覚めたのは、関東鉄道常総線・中妻駅の待合室。駅の外へ出て、背伸びをしながら女の子の頭を撫ぜます。
主題歌内では、寅次郎がポンシュウらの車に拾われて「板橋不動尊」へ向かい、テキ屋仲間らと啖呵売を行います。
爆笑シ-ン
寅次郎は、テキ屋仲間「般若の政」の息子・秀吉とともに、母・ふで(五月みどり)を探しに、和歌山へ向かいます。
和歌の浦のホテルを訪ねるも既にやめていて、案内された吉野の旅館へ向かいます。しかし、ここにもいません。
その晩、秀吉は高熱を出し、隆子が看病を買って出ます。寅次郎が連れてきたのは、松村達雄が扮する医師です。寅次郎と隆子は「とうさん」「かあさん」と呼び合い、松村達雄もギャグを連発し、緊張の中にも笑いが絶えません。
心に残る名場面
秀吉は快方へ向かい安堵する寅次郎と隆子。まだ名乗り合っていなかった二人は、お互いの素性を語り合います。
翌朝、大和上市駅で隆子と別れ、寅次郎と秀吉は、近鉄と連絡船を乗り継ぎ、ふでの居場所・賢島へ向かいます。
病気療養中のふでは、秀吉と再会できました。やがて、秀吉と寅次郎の別れの時が来ます。「オレも一緒に帰る」
自分に未練を感じてはいけないと、心を鬼にして叱る寅次郎。寅を乗せた連絡船は、秀吉をおいて出港しました。
エンディング
正月を迎えたとらやを隆子が訪ね、ふでからの年賀状を読み、ふでと秀吉が一緒に暮らしていることを知ります。
場面は変わり、二見ヶ浦でテキ屋仲間らと啖呵売をする寅次郎。ふで・秀吉・船長(すまけい)の姿を見つけます。
咄嗟に岩陰に隠れ、「何で隠れるんだよ」の問いに「俺達のような人間が声をかけちゃ迷惑なんだ」と答える寅次郎。
「そうか、船長が秀のてて親か。いいだろう」・・・・寅次郎の威勢のいい啖呵売が始まり、エンディングを迎えます。
総 括
個性派女優として人気が高い秋吉久美子。今作では、化粧品のセ-ルスで各地を廻る、幸薄い女性を演じました。
隆子がテレビで吉本新喜劇を観たり、安宿の女中に正司敏江が扮するなど、関西を意識した作品となっています。
また、近鉄が全面協賛しており、「近鉄百貨店」「近鉄タクシ-」「近鉄特急」「近鉄志摩観光汽船」などが登場します。
寅次郎版ロ-ドム-ビ-として製作された今作。タイトルは、同年に公開された映画「次郎物語」のパロディです。
PLAYBACK 1987
■1987年(昭和62年)のできごと・・・・NTT株上場 160万円の初値(2月9日)/国鉄分割・民営化(4月1日)
昭和天皇 慢性膵炎で入院手術(9月22日)/竹下内閣発足(11月6日)/金賢姫ら大韓航空機爆破(11月29日)
■1987年(昭和62年)のヒット曲・・・・STAR LIGHT(光GENJI)/六本木純情派(荻野目洋子)/愚か者(近藤真彦)
SHOW ME(森川由加里)/君だけに(少年隊)/命くれない(瀬川瑛子)/雪國(吉幾三)/人生いろいろ(島倉千代子)
☆画像:男はつらいよ 寅次郎物語 <パイオニアLDC・定価4700円> 本編101分[主音声モノラル]
◇ジャケット(裏面)紹介・・・・秋吉久美子・渥美清・松村達雄・笹野高史(左上)、秋吉久美子と渥美清(右)