男はつらいよ 寅次郎の休日 (1990年12月公開)
満男憧れの泉が、別居中の父親と会うため上京してきた。だが、父親はすでに会社を辞め、恋人と九州へ転居した後だった。父親を追う泉が乗った新幹線
に満男が飛び乗ったことから、さくら達は大騒ぎ。早速、満男の恋愛の師・寅次郎が二人を追って九州へ向かう。年1回の公開となったシリ-ズ第43作。
◆マドンナ/夏木マリ(及川礼子役)・後藤久美子(及川泉役) ◆主要ロケ地/大分県日田・名古屋
オ-プニング
平安時代。公家の車小路寅麿は、世の儚さを歌に詠んでいます。そこへ美しい女人(倍賞千恵子)が迷い込みます。
女人は、幼き折に別れた兄を探していると話し出します。「そのほう、我のこの面差しに見覚えありやなしや?」
夢から覚めたのは、小鹿田(おんた)焼きの窯元の縁側。奥さんにお礼を言い、山国川に架かる馬渓橋を渡ります。
主題歌内では、寅次郎が渓流釣りをする男にウィスキ-を勧め、飲み続けるうち、ヘロヘロに酔ってしまいます。
心に残る名場面 ①
葛西海浜公園の砂浜に佇む二人。父親のことを諦めきれず悲しみに沈む泉に、かける言葉を見つけられない満男。東京駅へ移動し、東海道新幹線ホームで泉を見送る満男。博多行きの切符を見せ、父親に会いに行くと告げる泉。
発車ベルが鳴り、デッキに乗り込む泉。「気をつけろよ」「いろいろありがとう。親切にしてもらって嬉しかった。」
次の瞬間、満男は思わずデッキに飛び乗ります。ドアが閉まり動き出す新幹線。二人は互いに見つめ合いました。
心に残る名場面 ②
くるまやを訪れた泉の母親と寅次郎は、満男と泉を追い、東京発の寝台特急に乗り込み、一路九州を目指します。
一方、日田に到着し、父親の居所を探す満男と泉。父親(寺尾聰)と再会し、交際相手(宮崎美子)を紹介されます。
その後、4人で日田祇園祭りを見に行きます。仲睦まじい二人の姿に耐え兼ね、泉は満男を連れて立ち去ります。
満男が泉を慰めていると、聞き覚えのある声が。泉の母親と寅次郎が現れ、母と泉、寅と満男が抱き合いました。
エンディング
正月を迎えた諏訪家。金町駅前の公衆電話から、満男が電話をかけてきます。泉が来ていることを知り驚く満男。
新年会の約束を断り、友人の自転車を奪い、一目散に走ります。「幸せって何なんだろう」満男の独白が続きます。
場面は変わり、大分の亀都起(きつき)神社でバイをする寅次郎とポンシュウ。CDをレコ-ドと言って売ります。
「500と言いたい所だが・・・・300円で持ってけ!泥棒やろう!!」 遠くに鳥居が映されエンディングを迎えます。
総 括
名古屋にある「クラブ礼」のママを演ずる夏木マリ。泉の母親役として最終作まで(第46・47作除く)出演します。
前々作より浪人生であった満男は、八王子の城東大学に入学し、長時間の通学に疲れ 下宿したいと言い出します。
毎作にチョイ役で出演する笹野高史。今作では、泉の父親の元勤務先(秋葉原の電気店)の上司・内藤を演じました。
前作より挿入歌に徳永英明の曲が起用され、今作では東京駅を出る新幹線車内のシ-ンで「JUSTICE」が流れます。
■1990年(平成2年)のできごと・・・・国際花と緑の博覧会開幕(4月1日)/礼宮親王結婚・秋篠宮家創設(6月29日)
イラクがクウェ-ト侵攻(8月2日)/西ドイツに東ドイツが編入され統一(10月3日)/天皇即位の礼(11月12日)
■1990年(平成2年)のヒット曲・・・・おどるポンポコリン(B.B.クィ-ンズ)/浪漫飛行(米米CLUB)/あ-夏休み(TUBE)
WON'T BE LONG(バブルガム・ブラザ-ズ)/愛は勝つ(KAN)/会いたい(沢田知可子)/今すぐKiss Me(リンドバ-グ)
☆画像:男はつらいよ 寅次郎の休日 <パイオニアLDC・定価4700円> 本編106分[主音声モノラル]
◇ジャケット(裏面)紹介・・・・後藤久美子と渥美清(中)、吉岡秀隆・夏木マリ・後藤久美子(右上)、寺尾聰と宮崎美子(右下)