男はつらいよ 寅次郎の告白 (1991年12月公開)
山陰地方を旅する寅次郎は、鳥取で偶然泉と再会する。母の再婚を素直に喜べない泉は、そんな自分が嫌で旅に出ていたのだった。
一方、泉からの絵はがきで後を追ってきた満男は、寅次郎が一緒なのでびっくり。満男と泉の恋が一歩前に進むシリ-ズ第44作。
◆マドンナ/後藤久美子(及川泉役)・吉田日出子(料亭の女将:聖子役) ◆主要ロケ地/鳥取県倉吉・岐阜県蛭川
オ-プニング
「川が流れております・・・」 寅次郎のナレ-ションで幕が開け、木曽川の橋梁を渡る急行形電車が映し出されます。
中央本線・落合川駅に降り立った寅とポンシュウ。もたつくポンシュウのせいで、バスに乗り遅れてしまいます。
怒って足蹴りする寅次郎。「そうです。私の故郷と申しますのは東京は葛飾柴又。江戸川のほとりでございます。」
主題歌内では、奥恵那峡下りの遊覧船にも乗り遅れた二人が、農家の小船に便乗させてもらい木曽川を下ります。
心に残る名場面 ①
鳥取砂丘にて再会を果たした満男と泉、そして寅次郎。三人は寅の昔馴染みの料亭に立ち寄り、昼食をとります。女将が戻り、昔話に花が咲きます。女将は、かつて寅次郎が所帯を持とうと思った女性であると告げられる二人。
女将は別の人と一緒になったが、その夫とは1年前に事故で死に別れたと聞かされ、皆で墓参りに出掛けました。
その晩、女将と寅次郎は酒を酌み交わし、女将に言い寄られた次の瞬間、覗き見していた満男が池に落ちました。
心に残る名場面 ②
バス停で女将に見送られ、鳥取駅へ向かう三人。寅次郎とホ-ムで別れ、満男と泉を乗せた列車が出発しました。
満男は黄色いハンカチを持つ泉の手を握ります。泉は満男の手をもう片方の手で包み込み、強く握っていきます。
友達の枠からようやくその先へ踏み出し、お互いの愛情を確かめる二人。泉への初めての愛の告白となりました。
名古屋に戻った泉は、「幸せになって」と母の再婚を許します。一方、満男は寅次郎の恋話を両親に報告しました。
エンディング
正月を迎えた諏訪家。三人で帝釈天にお参りする約束をドタキャンし、友達とバイクで横浜へ行こうとする満男。
出発しようとしたその時、前方から泉がやってきます。家に招き入れ、「俺は今帰ってきたんだよ」と嘘ぶきます。
場面は変わり、岐阜の安弘見神社でバイをする寅次郎とポンシュウ。サブが現れ、就職の報告 ならびに婚約者を
紹介されます。寅の啖呵売が始まり、すかさずサクラにまわるサブ。客がどっと増え、エンディングを迎えます。
総 括
泉らが訪れた楽器店の売場主任を演ずるのは、「イモ欽トリオ」の山口良一。30代半ばの彼は若々しい印象です。
倉吉にて一宿を提供する駄菓子屋の老婆を演ずるのは、シリ-ズ常連の杉山とく子。味のある演技が光りました。
チョイ役でお馴染みの笹野高史。今作では満男の投石が当たって激怒する釣り人を演じ、しつこく追いかけます。
「幸福の黄色いハンカチ」「遥かなる山の呼び声」に続き、山田作品で鍵となる黄色いハンカチの演出を行いました。
■1991年(平成3年)のできごと・・・・クウェ-トで湾岸戦争勃発(1月17日)/信楽高原鉄道衝突事故(5月14日)
雲仙普賢岳で火砕流発生(6月3日)/日本プロサッカ-リ-グ発足(11月1日)/ソビエト連邦崩壊(12月25日)
■1991年(平成3年)のヒット曲・・・・ラブ・スト-リ-は突然に(小田和正)/あなたに会えてよかった(小泉今日子)
SAY YES(CHAGE & ASKA)/ALONE(B'z)/どんなときも。(槇原敬之)/それが大事(大事MANブラザ-ズバンド)
★ロケ地を訪ねて(本編の登場順)
☆画像:男はつらいよ 寅次郎の告白 <パイオニアLDC・定価4700円> 本編104分[主音声モノラル]
◇ジャケット(裏面)紹介・・・・渥美清と吉田日出子(左上)、吉岡秀隆・渥美清・後藤久美子(中下)