男はつらいよ 寅次郎の青春 (1992年12月公開)
宮崎で女性美容師と知り合う寅次郎。一方、東京に就職した泉は満男と親密度を深めていた。同級生の結婚式に出席するため宮崎へ向かった泉は、
一年ぶりに寅次郎と再会する。寅さんが大ケガ!との知らせを受け、満男も特使として宮崎へ向かうが・・・・ 永瀬正敏も出演するシリ-ズ第45作。
◆マドンナ/後藤久美子(及川泉役)・風吹ジュン(富永蝶子役) ◆主要ロケ地/宮崎県日南・岐阜県下呂
オ-プニング
不忍池のほとり。文学博士・車寅次郎がシェイクスピアの翻訳に励んでいると、呉服屋の一人娘・泉と甥の満男
が駆け落ちしてきます。数人の用心棒が迫るが、文武両道を極めた博士には赤子の手をひねるようなものでした。
夢から覚めたのは、青島にある鬼の洗濯岩。主題歌内では、許可証無しで店を出している寅次郎とポンシュウに、
警官(赤塚真人)が退去を命じます。皆で片付けるも、バスガイドに見とれス-パ-ボ-ルをこぼしてしまいます。
爆笑シーン
泉から寅次郎が足をケガしたとの連絡を受け、宮崎へ向かう満男。本当の目的は、寅ではなく泉に会うためです。泉と合流し、蝶子の弟・竜介(永瀬正敏)が運転する車に乗り込む満男。仲睦まじい二人を見て不機嫌になります。
祭には出掛けず蝶子の店にいると、竜介の結婚相手が訪ねてきました。誤解が解け、一目散に祭へ出掛ける満男。
夜になり、海岸でコンサ-トを行う竜介。心酔する泉の様子が面白くない満男は、つまらなさそうに振舞います。
心に残る名場面
心臓手術で入院する母(夏木マリ)の看病のため、仕事を辞め名古屋へ帰る泉。満男は急いで東京駅へ向かいます。
泉から、もうなかなか東京へ戻れないと告げられる満男。「オレ、結局何の役にも立てなくて、泉ちゃんの周りを
ウロウロしているだけの間抜けだったな・・・」泉は涙をこらえて満男に抱きつき、自分からそっとキスをしました。
デッキに乗り込む泉。ドアが閉まり、何か伝えるも満男には聞こえません。動き出す新幹線を必死に追いました。
エンディング
正月を迎えた諏訪家。満男と博が江戸川堤防でジョギングをしています。「泉ちゃん。あけましておめでとう・・・」
満男のナレ-ションで年賀状が読まれます。「君の幸せを思うドジな人間がいることを時々思い出してください。」
場面は変わり、下呂温泉で啖呵売をする寅次郎とポンシュウ。新婚旅行中の竜介が現れ、蝶子が結婚したことを
聞かされます。内心穏やかでない寅次郎は、詳細を聞き出すべく竜介を喫茶店に誘い、エンディングを迎えます。
総 括
人気女優としてドラマや映画に多数出演する風吹ジュン。今作では、結婚を夢見る宮崎訛りの女性を演じました。
泉が就職したレコ-ド店の店長を演ずるのは、名脇役で知られる田山涼成。当時40歳の彼は若々しい印象です。
御前様役を長年演じた笠智衆は、今作公開の3ヶ月後に逝去(享年88)したため、最後の出演作品となりました。
第42作より4作連続で同シリ-ズに出演した後藤久美子。満男との恋の行方は、最終作までお預けとなります。
■1992年(平成4年)のできごと・・・・東京佐川急便強制捜査(2月13日)/細川護熙ら日本新党結成(5月22日)
山形新幹線開業(7月1日)/PKOとして自衛隊カンボジア派遣(9月)/クリントン米大統領選勝利(11月3日)
■1992年(平成4年)のヒット曲・・・・君がいるだけで(米米CLUB)/世界中の誰よりきっと(中山美穂&WANDS)
涙のキッス(サザンオ-ルスタ-ズ)/悲しみは雪のように(浜田省吾)/クリスマスキャロルの頃には(稲垣潤一)
★ロケ地を訪ねて(本編の登場順)
☆画像:男はつらいよ 寅次郎の青春 <パイオニアLDC・定価4700円> 本編101分[主音声モノラル]
◇ジャケット(裏面)紹介・・・・後藤久美子・渥美清・風吹ジュン(左)、永瀬正敏・吉岡秀隆・後藤久美子(右)