★1983年9月公開 「ふるさと」 <以下 あらすじ>
妻を亡くし、老人性痴呆症が進んだ伝三(加藤嘉)は、息子の伝六(長門裕之)の嫁である花(樫山文枝)のこと
すらも忘れてしまった。伝六も花も昼間はダム工事の仕事に出掛けるため、伝六は伝三を離れに隔離する。
夏、伝三は隣家の少年・千太郎(浅井晋)と出会い、アマゴ釣りの伝授を頼まれる。アマゴ釣りの名人だった
伝三は、釣りを通じ千太郎と親交を深めるうち痴呆の症状がよくなる。夏休みの終わり、長雨が続き釣りに
行けなくなった伝三は、再び痴呆の症状がひどくなる。伝六は伝三を離れに閉じ込め鍵をかけたが、怒りが
大爆発した伝三は窓ガラスを割って脱出を図る。そんな時 千太郎は、以前 伝三と約束していた長者ヶ淵に
アマゴ釣りに連れて行ってくれるようせがむ。長時間歩いてようやく辿り着き、千太郎は伝三に教えられた
通りに竿を降ろすと大物が掛かった。千太郎は伝三に助けを求めるが、伝三は胸を押さえうずくまっていた。
慌てる千太郎に伝三は落ち着くよう声をかけ、村へ助けを呼びに行かせる。伝三は岩場に倒れながら、昔の
美しい出来事を回想していた。その後、伝三は伝六たち村人らに助けられ、村へ戻る途中に息を引き取った。
場面は変わり、秋の徳山小学校では最後の文化発表会が行われ、出席者全員で文部省唱歌「故郷」を合唱した。
■徳山ダム建設と徳山村の消滅
揖斐川は濃尾平野西部を流れる木曽三川のひとつで、大垣市などを貫流し伊勢湾に注ぎます。古くから水害の
常襲地帯となっており、揖斐川の治水は流域住民の悲願でありました。戦後すぐにダム建設計画が持ち上がり
最終的に揖斐川最上流の徳山村が建設地に決定し、1976年に正式着手となりました。ダム建設にともない
全村水没となるため住民との補償交渉は難航し、本体工事開始は2000年までずれ込み、8年の歳月をかけ
日本一の総貯水量を誇る徳山ダムが完成しました。引き換えに徳山村は消滅、466戸(約1500人)が移転
を余儀なくされ、水資源開発公団が造成した5ヶ所の集団移転地のほか、県内や県外へ転出していきました。
■総括・感想
揖斐川上流部での徳山ダム建設により、やがて湖底に沈みゆこうとしている岐阜県揖斐郡徳山村を描きました。
徳山村出身で、同地において分校の教師をしていた平方浩介の著書「じいと山のコボたち」が映画化されました。
文化庁優秀映画奨励賞など受賞歴多数で、主演の加藤嘉がモスクワ国際映画祭の最優秀男優賞を受賞しました。
「ハチ公物語」や「ひめゆりの塔」の監督を務めた 岐阜市出身の神山征二郎がメガホンをとり、日本映画史に残る
不朽の名作として知られます。また、前田吟・篠田三郎・樹木希林・岡田奈々など俳優陣も豪華な顔ぶれです。
地元を題材としていることから、小学校高学年から中学校にかけ上映会等で観る機会が数度あり馴染深いです。
▲「ふるさと」予告編・・・・「僕の村が日本地図からなくなる」=この作品を象徴するキャッチコピ-が出てきます。
関連記事:徳山ダム訪問2007・・・・https://travelking0105.blog.fc2.com/blog-entry-194.html
Author:travelking0105
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