男はつらいよ 幸福の青い鳥 (1986年12月公開)
寅次郎は、九州の飯塚で美保という幸せ薄い女に出会った。やがて上京してきた美保は、寅の不在に気落ちしたのか、急に熱を出してしまった。
その美保を、ぶっきらぼうだが親切に介抱してくれた青年がいた。看板屋で働く健吾である。前作から1年ぶりに公開されたシリ-ズ第37作。
◆マドンナ/志穂美悦子(島崎美保役) ◆主要ロケ地/山口県萩・福岡県筑豊
オ-プニング
険しい山の中、幸福の青い鳥を探すとらや一家。「もう歩けない」と言うさくらに 「もうすぐ青い鳥が見つかるぞ」
と励ます寅次郎。やがて、一家の前に青い鳥が現れ、導かれた先には幸せな日々が待つユ-トピアがありました。
夢から覚めたのは、山陰本線の車内。車掌(イッセ-尾形)に乗越代の釣りを受取らせようと執拗に追いかけます。
主題歌内では、萩時代祭の「萩大名行列」が映し出され、売をする寅次郎とポンシュウの前を通り過ぎていきます。
心に残る名場面 ①
飯塚の「嘉穂劇場」に立ち寄る寅次郎。裏方(すまけい)と話すうち、昔贔屓にしていた一座の座長の死を知ります。
旧炭鉱住宅にある座長の家を訪ね、帰宅した美保に声をかけます。寅「座長の娘さんかい」・・・美保「そうですけど」
「坂東鶴八郎一座」の大空小百合との再会を果たし、田川で1泊。翌朝、田川伊田駅まで美保が見送りに来ました。「欲しいものねぇのか」の問いに、「青い鳥」と答える美保。売れ残りの青い鳥の笛をもらい、寅次郎と別れました。
心に残る名場面 ②
寅次郎を頼って上京し、上海軒で働く美保。ある日、健吾(長渕剛)のもとを訪ねるも、まずい雰囲気になる二人。
数日後、健吾がとらやを訪れ、美保に詫びを入れます。よそよそしい態度に失望し、啖呵を切り出ていきました。
「お前はあの男が好きだし、あいつはお前に惚れてるよ」と諭す寅。柴又駅まで追いかけ、二人は仲直りしました。
いっぽう、婚姻届の保証人欄に記入する寅次郎。さくらに「もう一人の保証人はお前がなってくれよ」と頼みます。
エンディング
正月を迎えた諏訪家。婚約した健吾と美保がやってきました。健吾のハ-モニカと共に寅の年賀状が読まれます。
場面は変わり、芦ノ湖遊覧船のりば。鳥の笛を売る寅次郎のもとに、有森也実・江戸はるみらが集まってきます。
有森也実は、松竹映画「キネマの天地」(同作公開により夏公開「男はつらいよ」は製作見送り)で主役を演じました。
寅次郎の啖呵売が始まり、冠雪した富士山や箱根峠から望む芦ノ湖全景が映し出され、エンディングを迎えます。
総 括
アクション女優として知られる志穂美悦子。今作で長渕剛と共演したことも契機となり二人は翌年結婚しました。
葛飾区役所の結婚相談員を演ずる笹野高史。寅次郎の好みの女の話を聞かされ、手土産を渡されるも固辞します。
テキ屋仲間・キュウシュウとして不破万作、帝釈天参道の寿司屋職人として出川哲朗が1シ-ンのみ出演します。
ドラマや音楽で馴染みの深い長渕剛の出演作品だけあり、シリ-ズ中「夕焼け小焼け」に次いで気に入っています。
PLAYBACK 1986
■1986年(昭和61年)のできごと・・・・チャレンジャ-爆発事故(1月28日)/チェルノブイリ原発事故(4月26日)
英皇太子夫妻来日(5月8日)/社会党委員長に土井たか子氏就任(9月8日)/伊豆大島・三原山大噴火(11月21日)
■1986年(昭和61年)のヒット曲・・・・DESIRE(中森明菜)/仮面舞踏会(少年隊)/CHA-CHA-CHA(石井明美)
My Revolution(渡辺美里)/時の流れに身をまかせ(テレサ・テン)/熱き心に(小林旭)/天城越え(石川さゆり)
☆画像:男はつらいよ 幸福(しあわせ)の青い鳥 <パイオニアLDC・定価4700円> 本編102分[主音声モノラル]
◇ジャケット(裏面)紹介・・・・長渕剛と志穂美悦子(中左上)、志穂美悦子と渥美清(右上)、イッセ-尾形と渥美清(右下)