男はつらいよ 知床慕情 (1987年8月公開)
北海道知床を旅する寅次郎。通りがかりの獣医・順吉のポンコツ車に乗せてもらったことから、彼の家に居候するハメになった。そこへ順吉の
美人娘・りん子が里帰り。彼女に一目惚れの寅次郎は、しばらく知床に居座ることに決めた。三船敏郎・淡路恵子も出演するシリ-ズ第38作。
◆マドンナ/竹下景子(上野りん子役) ◆主要ロケ地/北海道知床・岐阜市
オ-プニング
今作の冒頭は、寅次郎が見る夢がありません。第2/5作を経て第9作より続いた夢は前作でストップしました。
小京都・角館。桧木内川堤の桜並木をバックに、寅次郎が、幼少の頃に両親と行った桜見物の思い出を語ります。
寅次郎の語りで始まるオ-プニングが、第1作のそれと似ていることから、今作が最終作との憶測が流れました。
主題歌のミニコントは、寅次郎がマラソン大会の給水を売り物の飲料水と間違えてお金を払い、騒動となります。
爆笑シ-ン
おいちゃんが肺炎で入院し休業中のとらやに、寅次郎が帰ってきました。早速、病院へお見舞いに駆け付けます。
先生(イッセ-尾形)に付け届けのウイスキ-を渡すも固辞され、寅の足にウイスキ-が落ち、大喧嘩となります。
翌日とらやは再開し、帳場に座る寅次郎。結局、何の役にも立たず、備後屋らと酒を飲みに行ってしまいました。
自分に絶望するおばちゃんの声を聞き、黙って出て行く寅次郎。さくらと満男に見送られ、柴又を後にしました。
りん子が再び知床に戻り、順吉(三船敏郎)・ママ(淡路恵子)・寅次郎らが参加し、バ-ベキュ-が開かれました。
新潟へ帰るママに、「俺は反対だ」と言う順吉。理由を言わない順吉に「今言わなかったら、一生言えないぞ」と寅。
「行っちゃいかんという訳は、惚れてるからだ!」 順吉の告白に涙が溢れるママ。皆で「知床旅情」を合唱しました。
翌朝、船長(すまけい)にりん子宛の手紙を託し、寅次郎はマコト(赤塚真人)が運転する車で知床を後にしました。
エンディング
盛夏を迎えたとらや。東京での就職が決まったりん子が訪れ、寅次郎のナレ-ションで暑中見舞いが読まれます。
場面は変わり、「岐阜長良川まつり」に立ち寄る寅次郎。目の前を「岐阜第一高校」のブラスバンドが通り過ぎます。
出店で花火を売るポンシュウ(関敬六)を見つけ、足を引っ掛けます。威勢のいい寅次郎の啖呵売が始まりました。
金華山のカメラが長良川温泉を映しながらズ-ムアウトしていき、岐阜市北部を見渡しエンディングを迎えます。
総 括
第32作「口笛を吹く寅次郎」以来、二度目のマドンナとして登場した竹下景子。今作でも出戻り娘を演じました。
国際的スタ-(三船)と国民的スタ-(渥美)の共演に加え、今作で女優復帰となる淡路恵子も出演する話題作です。
「第11回日本アカデミ-賞」では、優秀助演男優賞に三船敏郎が、優秀助演女優賞に淡路恵子が選ばれています。
満男(吉岡秀隆)は高校1年生となり、寅次郎に「おじさんも少しは反省しろよ」と意見するなど成長がみられます。