男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日 (1988年12月公開)
初秋の信州を旅する寅次郎は、小諸駅前で出会った老婆と意気投合、一宿の世話になる。翌朝、老婆を迎えに来た美しい女医に一目惚れの寅。女医には
短歌が好きな女子大生の姪がいて、柴又へ戻った寅次郎は、早速 彼女の通う早稲田大学へ出掛けた。前作から1年ぶりに公開されたシリ-ズ第40作。
◆マドンナ/三田佳子(原田真知子役) ◆主要ロケ地/長野県小諸・長崎県島原
オ-プニング
今作より第42作まで冒頭の夢がありません。小海線を走る気動車に揺られる寅次郎が、日本酒を飲んでいます。
車掌に酒を勧め、断られる寅次郎。焦った車掌は、切符でなく寅が差出したスルメにハサミを入れてしまいます。
主題歌内では、懐古園の前で「大浅間山火煙太鼓」が鳴り響き、「健速神社祇園祭」のみこしが町内を練り歩きます。
ミニコントは、ポンシュウと共に売をする寅次郎の元に客の男(笹野高史)が現れ、靴を履いたまま逃げられます。
爆笑シ-ン
小諸から戻った翌日、寅次郎は早稲田大学へ出掛け、青年2人を呼び止め、由紀(三田寛子)の居場所を尋ねます。学生名簿で調べてもらい、由紀が来るという講義室で待つ寅次郎。やがて、「西洋近代史」の講義が始まりました。
教授が説明する「インダストリアルレボリュ-ション」を「インドの通りゃんせ」と言う寅。爆笑の渦に包まれます。
続けて、「ワットの蒸気機関」をワット君(中村雅俊)のガス自殺未遂の話で盛り上げ、無茶苦茶な講義となります。
心に残る名場面
真知子から老婆(鈴木光枝)が危篤との連絡を受け、茂(尾美としのり)と由紀と寅次郎は、車で小諸へ向かいます。
翌朝、病院に到着するも、一足早く老婆は亡くなっていました。霊安室に入ると、放心状態の真知子がいました。
家で最期を迎えたいと望んでいた老婆の思いに応えられなかったことを悔やみ、寅次郎の肩に顔を当て泣きます。
真知子には、筋道を立て一緒に考えてくれる人が必要だが、自分にはできないと感じ、寅次郎は小諸を去ります。
エンディング
正月を迎えた諏訪家。由紀の短歌集を机に並べながら、「本にしてやる約束したんだよ」と博が張り切っています。
いっぽう、小諸病院では真知子が由紀からの年賀状を読んでいます。「とれたての短歌を一首、おばさまに・・・・」
場面は変わり、島原城の広場でポンシュウと共に売をする寅次郎の元に客の男(靴泥棒)が現れます。寅「あれ?」
男「あ!いつかの」 寅「泥棒!!」 リュックを背負ったまま男は逃げ出し、追いかけるも、逃げ切られてしまいます。
総 括
高額納税者番付(俳優・タレント部門)4年連続首位で知られる三田佳子。今作では、未亡人の女医を演じました。
タイトルは俵万智のベストセラ-「サラダ記念日」より取られ、本編も歌集の世界を反映した内容となっています。
今作より、とらやの屋号が「本家くるま菓子舗」となり、店員として関西出身の三平(北山雅康)が雇われています。
後にシリ-ズ化される「釣りバカ日誌」(山田洋次脚本・西田敏行主演)の第1作が、今作と同時に上映されました。
PLAYBACK 1988
■1988年(昭和63年)のできごと・・・・世田谷机9文字事件発生(2月21日)/青函トンネル開通(3月13日)
瀬戸大橋開通(4月10日)/海自潜水艦なだしおと民間船衝突事故(7月23日)/昭和天皇重篤に(9月19日)
■1988年(昭和63年)のヒット曲・・・・パラダイス銀河(光GENJI)/吐息でネット。(南野洋子)/とんぼ(長渕剛)
MUGO・ん・・・色っぽい(工藤静香)/抱きしめてTONIGHT(田原俊彦)/You're My Only Shinin' Star(中山美穂)
☆画像:男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日 <パイオニアLDC・定価4700円> 本編100分[主音声モノラル]
◇ジャケット(裏面)紹介・・・・尾美としのりと三田寛子(左上)、渥美清と鈴木光枝(左下)、渥美清と三田佳子(中)