男はつらいよ ぼくの伯父さん (1989年12月公開)
久しぶりに柴又に帰った寅次郎。恋に悩む浪人中の甥・満男の相談に乗ってやったはいいが、酔っぱらって帰り、博と大喧嘩となって再び旅に出てしまう。
一方、満男は親子喧嘩の末、思いを寄せる後輩・泉の転校先 佐賀へと向かう。そこで寅とバッタリ会ってしまい・・・・ 壇ふみも出演するシリ-ズ第42作。
◆マドンナ/後藤久美子(及川泉役)・壇ふみ(奥村寿子役) ◆主要ロケ地/茨城県袋田・佐賀県小城
オ-プニング
水郡線の車内。寅次郎は老人(イッセ-尾形)に席を譲らない高校生に注意し、引きずり出すも座ろうとしません。
老人「大きなお世話だ。この出しゃばりめ!」 寅「座れって言ったら座れよ!」 取っ組み合いの喧嘩が始まります。
袋田駅に到着し、下車しても喧嘩を続ける二人。駅長(じん弘)が仲裁に入り、駅長室で仲直りの手打ちをします。
機嫌を直し、仲良く次の列車に乗り込む寅次郎たち。そんなやりとりが、満男のナレ-ションと共に描かれます。
爆笑シ-ン
バイクで名古屋に来た満男(吉岡秀隆)。泉の母親(夏木マリ)に会い、泉の居場所を聞き出し、佐賀へ向かいます。道中、転倒事故を起こし、ライダ-の男(笹野高史)に色々世話になる満男。その晩、2人でホテルに泊まります。
「満男さん・・・ね、満男さん」 目を覚ますと、そこには女装したホモライダ-の姿が。慌てて部屋を飛び出します。
さらにバイクを走らせる満男。東京を出て3日目の夕方、泉が住む叔母宅に到着し、泉との再会を果たしました。
心に残る名場面
旅館の同室に泊まった寅次郎と満男は、叔母宅を訪ねます。その晩、泉や寿子らと夕食後、泊めてもらいました。
翌日、満男と泉はバイクで吉野ケ里遺跡などを散策します。夜遅く帰り、叔父(尾藤イサオ)に叱責された満男は、
泉と別れ、佐賀を後にします。翌朝、叔父に満男のことを詫びる寅次郎。「二度とこげんことが起こらんよう・・・」
叔父の言葉に、「甥の満男は間違ったことをしていないと思います」と、喧嘩腰でなく紳士的な口調でかばいます。
エンディング
正月を迎えた諏訪家。満男が友人を連れて来るも、なんと階段の上に泉がいます。友人を無理やり帰らせる満男。
満男の部屋で寅次郎からの年賀状を読み楽しむ二人。「本年も私の愚かな甥・満男をよろしくお引き立て願います」
場面は変わり、佐賀の須賀神社でバイをする寅次郎とポンシュウ。易の本を売る寅の前を客が通過していきます。
一方、レンタル杖でどんどん稼ぐポンシュウ。寅の啖呵売が始まり、長い石段が映されエンディングを迎えます。
総 括
渥美清の体調不良に配慮し、今作より満男と泉のサブスト-リ-を設け、寅次郎の登場シ-ンを減らしています。
寅次郎は満男の恋をコ-チする役に回り、寅・満男それぞれにマドンナが配置される設定は最終作まで続きます。
撮影当時15歳だった後藤久美子(愛称ゴクミ)。国民的美少女として名を馳せた彼女も、あどけなさが残ります。
寅次郎が満男にあげたエジソンバンドを千円で買い取り、愛用している源公(佐藤蛾次郎)の姿は笑いを誘います。
PLAYBACK 1989
■1989年(平成元年)のできごと・・・・天皇崩御、皇太子明仁親王即位(1月7日)/日本で消費税3%実施(4月1日)
天安門事件発生(6月4日)/宮崎勤が幼女4人の誘拐・殺害を自供(8月10日)/ベルリンの壁崩壊(11月10日)
■1989年(平成元年)のヒット曲・・・・Diamonds(プリンセス プリンセス)/愛が止まらない(Wink)/恋一夜(工藤静香)
夢の中へ(斉藤由貴)/Runner(爆風スランプ)/ごめんよ 涙(田原俊彦)/川の流れのように(美空ひばり)/酒よ(吉幾三)
☆画像:男はつらいよ ぼくの伯父さん <パイオニアLDC・定価4700円> 本編109分[主音声モノラル]
◇ジャケット(裏面)紹介・・・・渥美清と壇ふみ(左上)、後藤久美子・渥美清・吉岡秀隆(中上)、吉岡秀隆と後藤久美子(右)