男はつらいよ 寅次郎の縁談 (1993年12月公開)
就職活動に行き詰まり、一人で旅に出てしまった満男を探しに、寅次郎は四国へ向かった。やっとの思いで見つけ出した満男には、気に入った娘がいた。
どうせそんなことかと納得しながらも、満男に帰るよう説得する寅の前に、忽然と現れた絶世の美女。寅次郎が久々に恋愛に奮闘するシリ-ズ第46作。
◆マドンナ/松坂慶子(坂出葉子役)・城山美佳子(上田亜矢役) ◆主要ロケ地/香川県多度津・琴平
オ-プニング
那須烏山を旅する寅次郎とポンシュウ。花嫁行列に居合わせ、「お嫁さん、綺麗だよ」と声をかける寅。新婦の父
(すまけい)から門出の一言を求められ、「二人をここまで育て上げてくれた皆様に感謝するという気持ちを持って
初めて二人は幸せになれる」と語る寅次郎。気分を良くしたところでポンシュウに失笑され、口喧嘩が始まります。
主題歌内では「山あげ祭り」の様子が映し出され、寅次郎は恐竜の串刺しを食べた後、爪楊枝で歯の掃除をします。
心に残る名場面 ①
琴島で働く看護婦・亜矢とすっかり仲良くなった満男。高台にて、亜矢が作ってきた弁当を一緒に食べています。満男のトレ-ナ-を無理やり脱がせ、手編みのセ-タ-を着せる亜矢。満男のトレ-ナ-を着て逃げていきます。
廃屋に逃げ込んだ亜矢を追いかける満男。誤って触れた板が倒れ、亜矢に当たりました。「痛かった? ごめん・・・」
満男に抱きついて「好き」と呟き、二人は抱擁しキスをしました。「満男ちゃ~ん」 おばさんに呼ばれ我に返ります。
心に残る名場面 ②
寅次郎と満男はそっと家を抜け出し、連絡船に乗り琴島を離れます。突然の別れに泣き崩れ、満男を見送る亜矢。
一方、満男の置手紙を見ながらしょんぼりする葉子。「私、そろそろ神戸に戻るわ」 父(島田正吾)にそう告げます。
父は、二つの封筒(土地の権利書と株券)を葉子に渡します。「お父さん、どうして」「寅次郎君が言うてくれたんや」
「うち、要らんのに。こんなもん」 本当は行くあてもない葉子は、テ-ブルに俯せになり泣き出してしまいました。
エンディング
正月を迎えたくるまや。さくらから店に寄るように言われた満男が入ってきます。「ちょっとここに座んなさい」
突然手で目隠しをされる満男。手を持って見上げ、「あれ!! お姉さんどうして」 葉子の訪問に驚きを隠せません。
場面は変わり、小豆島で啖呵売をする寅次郎とポンシュウ。晴れ着姿の亜矢と彼氏を見つけ、大きなハスキ-犬
のぬいぐるみをプレゼントします。「満男!! お前はまた振られたぞ! ざまあ見ろ!」 寅は天に向かって叫びました。
総 括
第27作以来、二度目のマドンナとして登場した松坂慶子。事業に失敗し、多額の借金を負う女性を演じました。
御前様役の笠智衆は前作公開後に他界しましたが、今作では さくらが「御前様元気?」と尋ねるなど、健在である
設定となっています。また、御前様の娘役で初代マドンナに起用された光本幸子が、22年ぶりに出演しました。
満男が訪れる瀬戸内の小島は、志々島と高見島でロケが行われ、両島を合わせて琴島という設定となっています。
■1993年(平成5年)のできごと・・・・皇太子妃に小和田雅子内定と報道(1月6日)/金丸信 脱税容疑で逮捕(3月6日)
北海道南西沖地震発生(7月12日)/細川内閣発足 55年体制崩壊(8月9日)/ロシア連邦大統領来日(10月11日)
■1993年(平成5年)のヒット曲・・・・YAH YAH YAH(CHAGE & ASKA)/裸足の女神(B’z)/負けないで(ZARD)
ロ-ド(THE 虎舞竜)/真夏の夜の夢(松任谷由実)/時の扉(WANDS)/このまま君だけを奪い去りたい(DEEN)
★ロケ地を訪ねて(本編の登場順)
☆画像:男はつらいよ 寅次郎の縁談 <パイオニアLDC・定価4700円> 本編104分[主音声モノラル]
◇ジャケット(裏面)紹介・・・・松坂慶子・渥美清・吉岡秀隆(左)、松坂慶子と渥美清(右)