ス-パ-ハイデッカ-の標準化 (90年代前半)
1985年、三菱自動車は国産初の低運転席タイプ「エアロクィ-ンK」を発売しました。
2階建てバス風の堂々としたスタイルは好評を博し、他のメ-カ-も追加発売しました。
時代は平成となり、依然好調なバブル景気に支えられ、観光バス業界は黄金期を迎えます。
こうした市場ニ-ズに合わせ、低運転席タイプ「エアロクィ-ンMV」を追加発売しました。
岐阜バスでは、同車を一般車として採用し、ス-パ-ハイデッカ-の標準化を推し進めます。
1990年には一般車「ダイナスティ」、1992年には寝台バス「キングダム」が登場しました。
同型車は、1993年にかけて合計47輌導入され、岐阜バスの主力車輌として活躍しました。
Great Excellence (華陽観光バス)
▲「グレ-トエクセレンス」(三菱ふそう[呉羽] P-MS725S改/1986年式)・・・・36人乗り固定サロン付バスです。
低運転席タイプの「エアロクィ-ンK」(呉羽自動車工業製)がフラッグシップとして導入されました。
車内後部をサロンル-ム(12席)とし、また一般席の最後列(4席)に回転シ-トを採用しています。
ボディ側面前方には円形の社章が掲げられ、「華陽-観光」の頭文字「K-K」がデザインされています。
DYNASTY
▲「ダイナスティ」(三菱ふそう U-MS729S改/1990年式)・・・・50/55人乗り一般車です。(正席45・格納式補助席5/10)
1990年に17輌、1991年に14輌(他社へ3輌転出うち2輌転入1⃣)、1992年に5輌、1993年に6輌導入されました。
1991年式のうち2輌は、リニュ-アル時 寝台バス「レッドキング」に改装されています。また1992年には、回転サロン付の
「ダイナスティサル-ン」(48人乗り)が3輌導入され、うち2輌は、リニュ-アル時 寝台バス「レッドキング」に改装されました。
さらに、1999年に廃業した京都観光バスより同型車が2輌転入し、「ダイナスティサル-ン」(51人乗り)に改装されました。
後年 1991年式のうち2輌が「Gifu Bus EXPRESS」に、1993年式のうち3輌が「高速大阪線」に転用されています。
なお、「ダイナスティ」全車(転出車除く)において、背面に岐阜県内自治体や航空会社の広告がラッピングされました。
注釈1⃣・・・・全車 京都観光バスへ転出後、うち1輌は廃業時 三河交通へ転出、うち2輌は廃業時 岐阜バスに転入
KINGDOM
▲「キングダム」(三菱ふそう U-MS729S改/1992年式)・・・・36人乗り全席回転サロン付寝台バスです。
138度フルリクライニングシ-ト(格納式テ-ブル付)を採用し、最後列以外が回転シ-トとなっています。
シ-ト表皮は専用のものが与えられ、天井シャンデリアを5基設置するなど、差別化が図られています。
かつての特別車「ロイヤル28」「クィ-ン28」を彷彿とさせる車輌で、1992年に2輌導入されました。
なお、「エアロクィ-ンMV」は、全車がリニュ-アル時(元京観車は転入時) 現行カラ-に改装されています。
高速大阪線
▲(三菱ふそう U-MS729S改/1993年式)・・・・高速バス「岐阜大阪線」に転用された車輌です。
2001年末、関・新岐阜⇔大阪なんば・弁天町間に高速路線(名神高速経由)が開設されました。
日本交通(現 日交シティバス)と共同運行で、同社は3列シ-トのハイデッカ-を投入しました。
開設時は貸切塗装のままで3輌登場し、後年 2輌が「関市ラッピング」仕様となりました。
高速大阪線 (関市ラッピング)
▲(三菱ふそう U-MS729S改/1993年式)・・・・高速バス「岐阜大阪線」に転用された車輌です。
関市がスポンサ-となり、ボディには「刃物のまち関市」と「関の小瀬鵜飼」がデザインされています。
「エアロクィ-ンMV」は社名表示灯を設置しないため、運行区間を明記したサボが掲げられました。
2005年には、うち1輌が「愛地球博」のシャトルバス「EXPOライナ-」として活躍しました。
★エアロクィ-ンKとは・・・・
1985年発売のス-パ-ハイデッカ-で、呉羽(→新呉羽)自動車工業製のボディを架装しています。
ダブルデッカ-「エアロキング」をベ-スに設計され、側窓の割付が名古屋自動車製作所製と異なります。
床下トイレの設置、中扉の増設、側窓の割付変更、屋根上直冷仕様など、事業者の様々な要望に応えました。
1993年まで生産され、ケイエム観光・日本交通・福井鉄道などがハイグレ-ド貸切車として導入しました。
1987年には、全高を150mm下げ、許容乗車定員を増やした「エアロクィ-ンKⅡ」が発売されています。
★エアロクィ-ンMVとは・・・・1990年発売のス-パ-ハイデッカ-です。
「エアロクィ-ン」シリ-ズの最上級モデルで、末尾の「V」はVIPの意です。
全高は「エアロクィ-ンM」と同一で、側窓面積が若干小さくなっています。
名古屋自動車製作所にて1993年まで生産され、これまで「エアロクィ-ンK」
の採用を控えていた事業者(岐阜バス・帝産観光バスなど)の導入が目立ちました。
岐阜バスグル-プ5社で70輌以上導入され、全生産輌数の4割強を占めました。
画像は、貸切車「レッドキング」(ダイナスティを改装)のリヤビュ-で、バンパ-
内にテ-ルランプを設置し、他のMS-7系エアロシリ-ズと印象が異なります。
■乗車記録(エアロクィ-ンMV)
①「ダイナスティ」岐阜22き・370・・・・ながら会ツア-「可睡ゆり園と加茂菖蒲園」コ-ス<1993年6月6日>
②「ダイナスティ」岐阜22き・514・・・・都市対抗野球応援「東京ド-ム 西濃運輸戦」<2000年7月29.30日>
③「高速大阪線」岐阜22き・635・・・・岐阜県庁→大阪なんば 乗車「神戸ルミナリエ」<2001年12月23日>
④「高速大阪線」岐阜22き・636・・・・新岐阜→大阪弁天町 乗車「造幣局桜の通り抜け」<2003年4月12日>
⑤「高速大阪線」岐阜22き・634・・・・岐阜県庁→大阪なんば 乗車「岸和田だんじり祭」<2003年9月14日>
☆各画像は、「BEST SELECT」(1990年版)、「車種別チラシ」、および 個人撮影のものより抜粋しました。