貸切車輌のさらなる高級化
バブル景気を追い風に、観光バスの市場ニ-ズはますます高級志向になってきました。
1991年、岐阜バスはドイツ・ダイムラ-ベンツ製の貸切車輌を2輌導入しました。
シルバ-地に赤・金・白のラインが入る専用カラ-で、「ベンツ91」と命名しました。
最上級車輌として、貸切運用をはじめ 高額のグルメツア-や宿泊ツア-などで活躍しました。
いっぽう1988年、三菱自動車は「K3型」(小型車・中型車)をフルモデルチェンジしました。
同社では、車内後部を回転サロンとした「ブリリアントマックス」をラインナップに加えました。
90年代初頭は、貸切バスの収益が乗合バスの収益を上回り、さらなる車輌の充実を図りました。
BENZ 91
▲「ベンツ91」(メルセデスベンツ O303RHD/1991年式)・・・・40人乗り回転サロン付バスです。
完成車の状態で輸入され、サ-ビスボックスの設置や、後部の回転サロン化など、改装が行われました。
トイレ・カ-ド式電話が設置されたほか、背面式テ-ブルが装備されています。(サンル-フ2基設置)
車輌価格はおよそ6000万円で、新旧の岐阜バス貸切カラ-を融合した外観デザインとなりました。
1991年に2輌導入されましたが、リニュ-アル時 「ベンツエクスプレス」に改装されています。
BENZ EXPRESS
▲「ベンツエクスプレス」(メルセデスベンツ O303RHD/1991年式)・・・・現行カラ-に改装された車輌です。
荷物棚下に蛍光照明(水色・白色交互配置)が追加装備されたほか、シ-トカバ-は通常タイプに交換されました。
同車は、最後列を除く通路側席にスライド機能を設けた135度フルリクライニングシ-トを装着しています。
加えて、トイレを設置していることから、ディズニ-リゾ-トツア-などの長距離夜行便でも活躍しました。
Brilliant
▲「ブリリアント」(三菱ふそう[新呉羽] P-MJ527F/1988年式)・・・・24人乗り一般車です。(エアロミディMJ)
全長7mの小型車(中型登録)ですが、車内装備は中型車「ブリリアント」に準じたものとなっています。
1988年に2輌導入され、小規模グル-プの貸切運用を中心に活躍しました。(高速料金は中型車を適用)
また1987年には、旧型車の「ブリリアント」が2輌(エアロミディMK12/P-MK126F)導入されました。
Brilliant Max
▲「ブリリアントマックス」(三菱ふそう[新呉羽] U-MM526H/1992年式)・・・・28人乗り回転サロン付バスです。
大型車と異なる形状のシ-トを採用し、一部車輌には格納式テ-ブルが装備されています。(エアロミディMM)
2枚目画像は、レ-ザ-ディスクオ-トチェンジャ-カラオケを装備した27人乗りの車内です。(1993年式)
1988年に1輌、1989年に3輌、1990年に1輌、1992年に2輌、1993年に2輌導入されました。
また、1999年に廃業した京都観光バスより同型車が1輌転入し、「ブリリアントマックス」(27人乗り)に改装され
ました。なお、1992/93年式はリニュ-アル時、元京観車は転入時、それぞれ現行カラ-に改装されています。
★O303RHDとは・・・・メルセデスベンツのス-パ-ハイデッカ-です。
国内初登場は1983年で、1993年にかけて30輌近く輸入されました。
カ-ブドガラスを採用し、全体的に丸みを帯びた車体デザインとなっています。
屋根上直結式エアコン設置により、トランクル-ムは3スパンとなっています。
宮城野観光バス・日の丸自動車興業などが貸切車として導入するいっぽう、
日本急行バスでは、高速バス(ベンツ特急)として大量に導入しました。
画像は、貸切車「ベンツエクスプレス」のリヤビュ-です。
★エアロミディMJ・MMとは・・・・
新呉羽自動車工業(→三菱自動車バス製造)製のボディを架装した小・中型観光系モデルです。(1988年発売)
従来の「K3型・小型車」は「エアロミディMJ」に、「K3型・中型車」は「エアロミディMK」に改称されました。
(エアロミディMJ・・・・全幅2.3m・全長7m/エアロミディMK・・・・全幅2.3m・全長9m または 8.2m)
また、大型ショ-トボディの「エアロミディMM」が新たに設定されました。(全幅2.5m・全長9m)
なお、「MJ」「MK」「MM」とも、ハイデッカ-とスタンダ-ドデッカ-がラインナップされています。
1993年の「エアロバスMM」(エアロバス9m車)発売後も、「MJ」「MK」は継続して生産されました。
★90年代初頭の岐阜バス・・・・
バブル景気の恩恵を受け、同社の業績は右肩上がりに推移し、付帯事業として分譲住宅販売にも力を入れていきます。
貸切事業も好調で、貸切バス保有台数は全国10指に入り、バスガイド80名の一括採用など、拡大路線を進みます。
グル-プ会社を含め、大型貸切は全車ス-パ-ハイデッカ-が導入され、岐阜バスのブランド力をさらに高めました。
活況のながら会ツア-は、ディズニ-ランドや造幣局桜の通り抜けのツア-を10台以上で催行する日がありました。
また、スキ-バスも多数運行し、自社のツア-「レッドライナ-」のほか、各エ-ジェントのツア-にて活躍しました。
当時は、直営旅行センタ-22ヶ所(岐阜県・愛知県)に加え、東京案内所も設置し、高い直販比率を誇っていました。