◆マドンナ/若尾文子(明石夕子役) ◆主要ロケ地/長崎県五島列島・浜名湖
オ-プニング
「ふるさとは遠くにありて思うものとか申します・・・・」 夜汽車に揺られる寅次郎のナレ-ションで幕を開けます。
その後、ヘリコプタ-から撮ったとみられる柴又上空の鳥瞰映像とともに、主題歌(1コ-ラス目)が流れます。
居間にてとらや一家が楽しむテレビは、帝釈天やとらやが紹介される江戸川の特集番組(全国放送)です。
しばらくすると電話がかかります。先ほどの放送を見て懐かしく思った寅次郎が、旅先からかけてきたのでした。
爆笑シ-ン
とらやの2階に下宿する夕子(若尾文子)が、体調不良で寝込んでしまい、「医者を呼べ」と大騒ぎする寅次郎。
「何ぃ!年はいくつくらいだ?ふざけるな!このスケベ医者!」 やってきたのは、近所の山下医院の院長です。
後に2代目おいちゃん役となる、松村達雄の演技がなんとも言えません。寅と一騒動のあと帰っていきます。
後日再びとらやに呼ばれるも、患者が夕子ではなく寅次郎だと知ると、「精神科を呼べ」と診察もせずに帰ります。
心に残る名場面
長崎港にて五島行きの船を待つ寅次郎。そこで、赤ん坊を背負った女性・絹代(宮本信子)に声をかけます。
すでに最終便が出航してしまい、「宿賃を貸してください」と言う絹代を旅館に連れて行きます。
就寝時間となり、絹代は泊めてもらったお礼にと服を脱ごうとします。「電気ば、消してください!」
「あんた、そんな気持ちで・・・・」寅次郎は、これが自分の妹だったら怒ると諭し、隣の部屋に移りました。
エンディング
旅に出る寅次郎を、柴又駅まで見送るさくら。発車間際、兄に赤いマフラ-を巻いてあげるシ-ンが印象的です。
場面は変わって正月を迎えたとらや。旦那とよりを戻した絹代が、寅を訪ねて挨拶に来ていました。
五島で暮らす父親・千造(森繁久弥)に電話をかけ、近況を報告し「おめでとう、じゃ、さいなら」と切ります。
ラストは、浜名湖畔で啖呵売をする寅次郎。帝釈天の寺男となったはずの源公が、なぜか同行しています。
総 括
前作のヒットで、シリ-ズ化を念頭において製作された今作は、若尾文子・森繁久弥など出演陣も豪華です。
後に、「マルサの女」など伊丹十三監督作品で体当たりの演技を見せる宮本信子も、初々しさが残っています。
「15・16・17と~」 全編に渡って寅が口ずさむのは、当時のヒット曲・藤圭子の「圭子の夢は夜ひらく」です。
印刷工・博の独立騒動をはじめ、タコ社長の家族が登場するなど、エピソ-ドも満載の作品となっています。