だが、柴又を訪れた歌子から恋人との結婚話をうちあけられた寅次郎・・・・涙の奮闘努力が始まる。2代目おいちゃんにバトンタッチするシリ-ズ第9作。
◆マドンナ/吉永小百合(高見歌子役) ◆主要ロケ地/金沢・福井県東尋坊
オ-プニング
今作は、久々に寅次郎が見る「夢」で始まります。貧しい漁村民のさくらと博を、悪徳な借金取りが襲います。
そこに現れたのは、「木枯らし文次郎」風に長い楊子をくわえた寅次郎。借金取りに札束を投げ事無きを得ます。
「もしやあなたは、私の兄・寅次郎様では・・・・」とさくら。「お人違いでございましょう」 その場を離れる寅でした。
目覚めたのは、とあるロ-カル線の駅。「お客さん乗りますか?」 旧型ディ-ゼルカ-が発車していきます。
爆笑シ-ン
とらやの2階を間貸しすることで一家ともめた寅次郎は、一人暮らしをするため近所の不動産屋を回ります。
寅次郎の現実離れした注文にことごとく断られ、最後にたどり着いたのは佐山俊二演ずるボロい不動産屋。
「家は古いんですけどね。そのかわりお値段がぐっとお安くなってるんですよ」 案内されたのは、なんととらや。
「手数料6000円いただきます」「なんでオレの家に帰ってきて払わなきゃいけないんだ」・・・・ひと悶着があります。
心に残る名場面
福井県は永平寺近くの茶店で、歌子(吉永小百合)ら3人と出逢う寅次郎。田楽をごちそうしてあげます。
駅のホ-ムで記念撮影。寅次郎の「バタ-!」に大爆笑する3人は、緊張がほぐれ寅との4人旅を続けます。
越前海岸を周り、寅次郎は京福電鉄の駅で3人を見送ります。歌子から記念にと大きな鈴を受け取る寅。
「これ少ないけどとっといてくれよ」 歌子に数千円を握らせ、3人を乗せた旧型電車は発車していきました。
エンディング
歌子の父(宮口精二)がとらやを訪ね、歌子からの手紙やハガキを読んでいます。「娘がご厄介になりまして・・・・」
暑中見舞いを読む歌子のナレ-ションが重なり、陶芸家を志す彼と結婚し愛知県で暮らすシ-ンが流れます。
場面は変わり、旅先で登(秋野太作)と再会する寅次郎。そこに、黄色一色のペプシのトラックが通りかかります。
「あっ、ちょうどいいや、そこまで面倒みてくれや」 二人を乗せたトラックは、田舎道を走っていきました。
総 括
今作より、おいちゃんは松村達雄にバトンタッチしました。序盤の起き上がるシ-ンが、違和感を軽減しています。
歌子を交えての昼食で、さくらが言う「貧乏暮らしの地が出る」を「痔の話」と勘違いしている寅次郎が笑えます。
また、今作では「ペプシ」が協賛しており、とらやの玄関先には黄色いペプシの冷蔵庫が鎮座しています。
なお、今作より8月(盆休み)・12月(年末年始)の公開スパンが確立されています。(1989年まで続く)