晩秋の江差。寅次郎はテキヤ仲間の一人が寂しく死んだのを聞き人生の憐れを知る。残された薄幸の娘・すみれを面倒みることになり、就職の世話や
夜間高校の受験に大わらわ。まるでわが娘のように可愛がる寅次郎だったが、ある日彼女の恋人がやってきた。村田雄浩も出演するシリ-ズ第26作。
◆マドンナ/伊藤蘭(水島すみれ役) ◆主要ロケ地/北海道奥尻島・徳島県鳴門
オ-プニング
江戸川のほとり。「天災・不作・疫病が続くのは天狗様の崇り。怒りを鎮めるため、おさくを差し出せ」と言う代官。
旅人(渥美清)は、おさくの身代わりを申し出、悪代官らを退治します。その旅人こそ、おさくの兄・寅次郎でした。
夢から覚めたのは、関西の片田舎の池のほとり。もたれかかった木が腐っていて池にボチャン! 驚く寅でした。
主題歌のミニコントは、人気ボクサ-にサインをねだる群集に加わるも、関係者らを巻き込み騒動に発展します。
爆笑シ-ン
柴又に帰ってきた寅次郎は、さくら達が念願のマイホ-ムを手に入れたことを知り、新居祝の工面に奔走します。
御前様に断られ、源公から2万円を借りる寅。その晩 博に渡すも、袋の中身を確認せずにしまってしまいます。
中身をみんなに見せたいがために、わざわざ確認させる寅。「2万円!?」 驚いて「気持ちだけ」と言って返す博。
「寅さんの1万円札か・・・・まさか偽札じゃねえだろうな」 タコ社長の言葉にブチ切れし、大喧嘩となりました。
心に残る名場面
とらや一家の協力を受け、見事 葛飾高校定時制に合格したすみれ(伊藤蘭)。とらやで下宿生活が始まります。
ある日、すみれの母(園佳也子)がとらやを訪ねます。幼少の頃、父子を置いて出て行った母が許せないすみれ。
「自分には家族がいるので一緒に暮らせない」と言う母に、「何もあんたとなんか暮らしたくありません」とすみれ。
傷心の母はとらやを出て行き、近くの電柱の陰で大泣きしています。すみれは、母を優しく慰めてあげました。
エンディング
正月を迎えたとらや。すみれと貞男(村田雄浩)が新年の挨拶に訪れ、さくらや博と結婚のことを話しています。
寅次郎のナレ-ションで年賀状が読まれ、場面は「四国八十八箇所巡り」の第一番札所・霊山寺に変わります。
瀬戸内の展望台駐車場で寛ぐ寅。すると「阿波鳴門巡礼ツア-」の垂幕がかかったマイクロバスが停車します。
降りてきたのは、奥尻島のスルメ工場で会ったおばさん(あき竹城)。寅次郎らを乗せたバスは去っていきました。
総 括
撮影当時25歳だった元キャンディ-ズの伊藤蘭(夫は水谷豊)は、若くはつらつとした演技が光っています。
タコ社長のコネで、すみれが働くことになったのは「セブンイレブン」。「ス-パ-」と呼んでいるのが興味深いです。
すみれの恋人役を演じたのは、前年「思えば遠くへ来たもんだ」で映画デビュ-をした村田雄浩(たけひろ)です。
定時制高校 国語教師役の松村達雄(2代目おいちゃん)や、警官役の米倉斉加年らベテラン勢も見逃せません。
PLAYBACK 1980
■1980年(昭和55年)のできごと・・・・大貫さん1億円拾得事件(4月25日)/モスクワ五輪開幕(7月19日)
新宿西口バス放火事件(8月19日)/イラン・イラク戦争勃発(9月9日)/レ-ガン大統領当選(11月4日)
■1980年(昭和55年)のヒット曲・・・・大都会(クリスタルキング)/恋人よ(五輪真弓)/哀愁でいと(田原俊彦)
雨の慕情(八代亜紀)/ダンシング・オ-ルナイト(もんたよしのり)/帰ってこいよ(松村和子)/恋(松山千春)