◆マドンナ/いしだあゆみ(かがり役) ◆主要ロケ地/丹後半島・鎌倉
オ-プニング
昔、信濃の国に貧しくとも正直な農民の一家がいました。ある晩、旅人(渥美清)になけなしの飯を供します。
お礼にと、ふすまにすずめの絵を描かれるが、何と絵のすずめが抜け出して評判となり、一家は繁栄します。
木崎湖畔でハガキを書く寅次郎。油絵を描いている画家に漢字を聞き、ついでに最後まで書いてもらいます。
今作では、主題歌のミニコントはなく、長い間奏に旅先でのヒトコマを入れるなど、他作と趣向を変えています。
心に残る名場面 ①
作次郎(片岡仁左衛門)宅を訪ねた寅次郎は、かがりが丹後の実家へ帰ったことを知らされ、後を追います。
寅次郎と再会でき喜ぶかがり。最終の連絡船に乗り遅れ、その晩 かがりの家に泊めてもらうことになりました。
お酒が進み、寅次郎に寄り添うかがり。大胆な行動を察しつつも、緊張のあまり、その場を離れて床に就きます。
「もう寝たの?」 かがりの問いかけに寝たふりをします。あと一歩が踏み出せない自分に絶望する寅次郎でした。
心に残る名場面 ②
寅次郎のことが忘れられず、とらやを訪れるかがり。次の日曜日に、鎌倉のあじさい寺で会う約束をします。
一人だと格好がつかない寅次郎は、満男(吉岡秀隆)を連れて鎌倉へ向かいます。待ち合わせたのは成就院。
湘南海岸沿いのレストランで食事をした後、江の島へ渡る3人。寅次郎とかがりは何も話さず、沈黙が続きます。
「今日の寅さん、何か違う人みたいやから・・・・」 孤独感に包まれたかがりは、その日のうちに東京を離れました。
エンディング
盛夏を迎えたとらや。作次郎の弟子・近藤(柄本明)が、寅が持っている打薬窯変三彩碗を借りに来ています。
「寅さん、この間はごめんなさい・・・・」 伊根の漁港が映し出され、かがりの声で寅次郎宛の手紙が読まれます。
場面は変わり、彦根城で啖呵売をする寅次郎。「加納作次郎の作品だ~」 嘘八百を並べ瀬戸物を売っています。
そこに現れた、本物の作次郎。「まいったな~ 爺さん、冷たいビ-ルでも飲むか?」 意気投合する二人でした。
総 括
ポップス歌手から大女優へ成長したいしだあゆみ。撮影当時34歳の彼女が、微妙な女心を見事に演じました。
客演に迎えた歌舞伎役者の13代目 片岡仁左衛門(片岡孝夫の父)。関西弁の独特な語り口調が印象的です。
主題歌のミニコントでお馴染の津嘉山正種(つかやままさね)。今作では、かがりの元恋人・蒲原役を演じました。
木崎湖に始まり、京都・丹後半島・鎌倉・彦根城。ロケ地も変化に富み、旅情豊かな作品に仕上がっています。